使っている箇所と本当の境界が違っている?

 昔から使っている土地などは、親やもっと先代の時代から、隣の人などといろいろな約束がしてあることがあります。

現状

 Aさんが右図の1番の土地を、Bさんが2番の土地を所有しています。


昔の話し合い

 その昔、Aさんの先代とBさんの先代が話し合って、お互いの土地の形が悪いから真っすぐに使おうと約束して、右図のようにブロックを建築して土地を使用しています。


では、売買のときは・・・?

 例えば、Aさんが1番の土地を人さまに売らなければいけないような事情ができて、今まで使用していた右図の赤線部分を、これが自分のものだからと言って売ることができるのでしょうか・・・?

 これは、登記の世界では通用しません。それは、赤線内を自分が使うという約束は、AさんとBさんとの間だけで通用する約束で、他の人には通用しないからです。 

 


隣接地との境界確認

 このような場合には、最初に1番と2番の境界確定測量を行います。

 具体的には、1番や2番と隣り合っている3番、4番、5番、6番の所有者や道路管理者と、互いの境界がここでよいかどうかの確認を行います。


当事者どうしの境界確認

 ひき続き、1番と2番の本当の境界線も、しっかりと確認しておきます。

 以上の作業で、1番の正しい範囲と、2番の正しい範囲が確認できたことになります。


分筆登記

 続いて、1番の土地を1番1、1番2の2筆に、2番の土地を2番1、2番2、2番3の3筆に分ける分筆登記を行います。

 この時点では、まだ1番1、1番2はA所有地、2番1、2番2、2番3はB所有地のままとなっています。

 ※Aさんが1番地を住所地に使っている場合などは、分筆後を1番1とせず1番を残す分筆登記が可能です。同様にBさんが2番地を住所地に使っている場合などは、2番を残す分筆登記が可能です。


所有権移転登記(司法書士に依頼)

 最後に、司法書士に依頼する必要がありますが、1番2をAからBへ、2番2と2番3をBからAへ所有権移転登記して、ようやく現状使っている箇所と、登記の状態を同一にすることができます。

 

 ※もともとの1番や2番が農地の場合には、所有権移転登記の前提として、農地法所定の許可(行政書士業務/当事務所においても可)を得る必要があります。この許可は得られるケースが限られるため、やむを得ず本件のように使用状況と登記の状態が異なってしまっている場合もあります。