市街化調整区域における建築許可等

 ここでは、お父さんが所有する市街化調整区域内の土地(日進市○○町△△10番・畑1000㎡)の一部(300㎡)に、息子さんが家を建築する(分家住宅)ための許可を取得するご依頼を受けた場合の概要についてご紹介します。

 また、日進市内の案件を想定しており、他市町では以下と異なる部分があると思われますので、ご留意下さい。

資料調査・事前協議

 市街化調整区域内に建築するための許可を受けるには、様々な条件を充たす必要があります。たとえば分家住宅の場合ですと、

 ○土地の条件(こういう土地でなければ建てることができない)

 ○許可を受ける人の条件(こういう人でなければ建てることができな

  い)が設定されており、それぞれの条件に該当する必要があります。

 

 今回のケースが建てられるケースに該当するかどうかを以下の資料などによって判断します。

 ○建てたい土地の所有権の履歴(土地の全部事項証明書、閉鎖登記簿謄

  本など)

 ○息子さん及びお父さんの家族・親族の状況(戸籍(除籍・原戸籍)謄

  本、住民票など) 

 ○息子さん・お父さんその他家族の土地所有状況(名寄帳、農家台帳な

  ど)

 ○息子さん・お父さんその他家族が他の土地を所有している場合 の利

  用状況

 ○息子さんの現在の居住状況(アパートの賃貸契約書など)

 

 また、愛知県担当課と事前協議を行い、「許可見込みがある」という回答を得ておきます。(回答を得られない場合、何らかの処置をして再協議ができる場合と、全くこれ以降に進むことができない場合とがあります)  

境界確定測量

 「市街化調整区域内であっても許可がおりる見込みがある」という回答が得られましたら、次に、今回の建築予定地である10番の土地の外周が、現地においてどの範囲になるかを把握するための測量を行います。

 9番や11番の土地所有者、道路及び水路管理者などと境界の立会を行い、境界杭を埋設して10番の土地の外周をはっきりとさせます。

 

 なお、土地の外周をはっきりとさせる境界確定測量についてはこちらで紹介しています。

 

家族・親族の状況
境界確定測量


分筆登記

 10番の外周がはっきりといたしましたら、次に、家の敷地となる土地と農地として残る土地を別の地番にする登記(分筆登記)を行います。右の2つの図面では家の敷地となる土地を10-1、農地として残る土地を10-2としております。

 

 分筆位置を決める際には、

 ○建築したい位置

 ○家の敷地(右図の10-1)となる部分の面積と形状

 ○農地として残る部分(右図の10-2)の使い勝手の良さ

 などを考慮し、例えば道路から遠いところに建築したい場合には左図のような分筆を、道路から近いところに建築したい場合には、右図のような分筆を行います。

 

 なお、建てたい建物の大きさにより、家の敷地(右図の10-1)となる部分の面積に制限がありますので注意が必要です。 

 

分筆計画案

日進市条例 小規模開発等事業

 この先申請する「農地法許可」などは愛知県知事の許可となりますが、その前段階として日進市に、建物から出る水(屋根・樋などからの雨水やトイレ・風呂・キッチン等からの雑排水)の排出先や建物敷地が道路と正しく接しているか等の確認を受けるための届出をする必要があります。

 また、今回の建築計画概要を記した看板を現地に設置し、周辺の方々に周知する必要があります。 

<参考>日進市HP「小規模開発等事業の手続きについて」

愛知用水土地改良区との協議

 農地の場合、土地に愛知用水の水の権利がついている場合があります。そのような土地の農地転用申請を行おうとする場合、その前段階として、水の権利がついている地区から抜けるための申請をする必要があります。

 

排水・接道・乗入等の許可

 敷地と道路との境にある道路側溝に蓋がついておらず、乗入のため側溝蓋をつける必要がある場合、乗入のため歩道の縁石を切り下げる必要がある場合、建物から出る水を排出する側溝が道路の反対側にしかなく、側溝工事の必要がある場合等のときは、道路管理者または水路管理者の許可を受けて工事を行わなければなりません。

 これらの許可は、市街化調整区域に建築するための許可を受けるための必要条件ともなっています。

<参考>日進市HP「道路・水路での承認工事」


農地を農地以外にするための許可(市街化調整区域内)

市街化調整区域内に建物を建てるための許可

 これら2つの申請は同時申請、同時許可の関係にありますが、農地転用の申請については毎月一定の日(日進市においては毎月8~12日)しか受け付けられておりません。

 また、市街化調整区域内に建物を建てるための許可には、現在地盤高と計画地盤高が30cmを超えるかどうかによって、「建築許可申請」「開発許可申請」に分かれており、手数料や難易度が異なってきます。

 これら2つの申請が許可になると当事務所の業務は完了し、住宅メーカーさんや建築士さんが申請する確認申請に進んでいきます。